wine

クロアチアは、日本の約 15% の大きさの国土を持ち、独立国家として国際社会で承認されたのは 1991 年の、小さく、若い国です。2018 年、ロシアで開催された FIFA ワールドカップでの歴史的な活躍もあり、徐々に知名度は上がりつつあるものの、まだまだ知られていない、遠い国の一つと言えるでしょう。

 そんなクロアチアですが、近年は、旅行先としての人気、注目度が急上昇中。降り積もる雪の中、幻想的なきらめきを味わけるザグレブのクリスマスマーケット。深緑の森に、エメラルドやターコイズの湖や滝がまるで宝石のように散りばめられたプリトヴィツェ湖畔国立公園。そして、いくつかのジブリ作品の舞台とも言われる、紺碧のアドリア海に浮かぶ白壁、オレンジ屋根の旧市街の街並。ウェブサイトやパンフレットなどで、そんな、息を飲むような美しい写真や映像を目にしたことがある方もいらっしゃるのではないでしょうか。

 しかし、クロアチアが、世界でも高く評価されるワイン生産地であることは、日本ではまだほとんど知られていません。

クロアチアは、北部に果てしなく広がるスラヴォニア平原から、急峻なディナル・アルプス山脈とアドリア海が出会い、複雑に入り組んだ海岸線と島々を形成する沿岸地方まで、このサイズの国としては驚くほどの変化に富んだ地形、気候、そして土壌に恵まれています。近隣のオーストリアなどにも似た、ひんやりした大陸性気候の内陸部と、海を挟んだ隣国イタリアに近い地中海性の沿岸部。そして、半島部や島嶼部特有の独特の風土。そんなバラエティに富む土地から生み出されるワインもまた、とても一言では語りつくせない、奥の深い世界を作り上げているのです。

 バラエティという点では、現在、クロアチアで正式に登録されている固有ブドウ種の数は、なんとおよそ 125 種にものぼります。残念ながら、その多くの品種が絶滅の瀬戸際にある状態ですが、それでもいくつかの品種は、クロアチアを代表するブドウ品種として、各地で広く栽培されています。

 その中でも特によく知られているのは、ダルマチア地方を代表する赤ワイン品種で、アメリカで人気のジンファンデルの近縁にあたるプラヴァッツ・マリ。白ワイン品種であれば、世界のワインコンクールで数々の受賞作を生み出している、イストリア半島産のマルヴァジヤ・イスタルスカ。また、ポシップ(白)、バビッチュ(赤)、シュクルレット(白)、ジュラフティナ(白)なども、クロアチアでは日常的に楽しめる人気品種です。

 また、クロアチアワインの魅力は、その土地ごとに異なるバラエティだけにはとどまりません。今の形のクロアチアとして独立してからの歴史こそ浅いものの、この地域は、時代が変わり、国名が変わっても、多くの人々が土地に根づいた暮らしを数千年にわたって続けてきた場所。ワイン生産にも、なんとギリシャ時代にまで遡る、長い歴史があります。

クロアチア最古のワイン生産は、アドリア海に浮かぶ風光明媚な島、フヴァル島で始まったとされています。人気映画「マンマ・ミーア 2」の撮影地にもなったこの美しい島のスタリ・グラド平原(※なんともロマンあふれる、「古都平原」という意味)は、古代ギリシャの入植者がブドウとオリーブの栽培を始めた 2400 年前から続く伝統的なワインリージョン。ここはクロアチアに全部で 9 つあるユネスコ世界遺産のうちの一つでもあり、世界遺産に選ばれた地域で作られたワインが飲めるという特別な幸せを、今も私たちに提供してくれています。

 日本からクロアチアを訪れる旅行者の数は、年々大きな成長を見せています。現地でクロアチアワインを味わってくれた方も、どんどん増えてきています。しかし、これだけバラエティに富むワインに迎えられれば、いったいどれが自分の好みの一本なのか、どのワインがお値打ちものなのか、迷ってしまうこともあるでしょう。

私たち、アドリア・トレードは、素晴らしいワイン産地であるだけでなく、創業者の故郷でもあるクロアチアを、日本の皆さんにもっと身近に感じていただきたいと願っています。そのため、私たちはワイナリーと直接交渉し、自分たちもきちんと試飲をして、納得のいったワインだけ厳選してご紹介しています。また、特別な日のワインも、日常的に楽しむデイリーワインも、実際に試していただきやすい適正価格でご提供できるよう、惜しまずに努力をしています。

私たちのワインを通じて、一人でも多くの日本の皆さんに、「クロアチアワインって美味しい!」と思ってもらえたら。「クロアチアワインの世界をもっと知りたい」と思ってもらえたら。そして、いつの日か、美しいクロアチアに実際に足を運び、ワインを片手に、その瞬間と、一人一人の人生を堪能してもらえたら。

 そんな願いを込めて、今日も、アドリア・トレードは厳選したクロアチアワインを日本の皆さんにお届けしていきます。